【2023.10.12掲載記事】
今日は朝から天候不良。雨雲が立ち込め、今にも雨が降りそうな気配。身支度を済ませ出発。いよいよ日本本土最東端の根室市納沙布岬を目指す。移動し始めて間もなく雨が降り出す。今日は納沙布岬到達後の予定は特にたてていない。移動と休息を取りつつゆっくり進むことにする。途中でコインランドリーを見つけ洗濯。洗濯300円、乾燥20分200円。自己最安値更新。
根室市に近づくにつれて「北方領土返還」の石碑や看板が目立つようになる。

今回、北海道に来て、繰り返し「北海道地図」を見ていて気付かされたことがある。いわゆる「北方領土」と呼ばれる島々の日本との近さである。国後島は北海道のすぐ横にある。沖合16キロの距離。そして今から行く納沙布岬も、その先には、「歯舞群島」がある。この歯舞群島は、小さな島々の総称。貝殻島、水晶島、秋勇留島、勇留島、志発島、多楽島などの島々からなる群島である。かつては多くの日本人が住んでいたが現在は住んでおらず、ロシアの「警備隊」がいるのみとなっている。
根室市中心市街地を通り抜け、納沙布岬が近づてきた。雨風が強い。広い牧草地が広がる。今日の天候が、冬の厳しい寒さを想像させる。岬の先端に到着。

ここには北海道最古と言われる灯台がある。到着して暫く車内から海を見続けていたら雨足が弱まり、そして止んでくれた。しかし風はかなり強い。
「本土最東端」の碑が建つ場所に近い土産物屋に入る。海の見える窓際には、双眼鏡や「北方領土」に関する資料がさまざま置いてあった。それらを見ていると店主が近づいてきて目の前に見える島々について説明をし始めてくれた。

「あそこに見える平らな島が貝殻島です」
「ここからの距離は4kmありません」
「近くにあっても近づくことはできません。境界ラインを越えるとロシア警備隊が向かってきます」
この辺りはとても良い漁場で、島にも多くの日本人が住んでいたという。窓辺に置いてあった双眼鏡を島に合わせ見せてくれつつ、いろいろ説明してくれた。ご自分の親や身内の多くもかつての領土であったこの島々と深い関わりがあったという。今では行くことのできない地となり、その無念さが伝わってきた。

九州から北海道は遠い場所にある。自分自身、日常の中で「北方領土」のことを意識することはほとんどない。言葉を聞いても頭の中を通り抜けていくような感覚であった。しかし、この地に立って改めて、あまりにも近いこれらの島々との「距離」のことを考えさせられた。
晴れ渡る青空の中で、もう一度この景色を見てみたいという思いが込み上げてきたが、お店の方々が、「島が今日はよく見えていますよ」と言う。
「晴れていても霧が深いので、こんなに良くは見えなかもしれませんよ」
これを聞いて、心残すことなく納沙布岬を出発することができた。
この後、今日も街の公衆浴場に行く。なんとここも温泉。ラドンの湯で身体がポカポカ温まっていくのがわかる。この銭湯、これまで入ってきた銭湯以上に昭和レトロ感満載だった。ロッカーはなく、衣服はカゴに入れる。番台の女性が男女それぞれの脱衣場に向かって座っている。着脱が丸見え。少々気恥ずかしさが生じてしまう。入浴が終わり、衣服を身につけ番台の方と少し話す。このあたりも以前は漁関係の船がたくさん入ってきて、とても賑やかだったという。しかし、最近は、秋刀魚をはじめ魚が取れなくなり船の出入りも少なくなったという。それに伴いこの銭湯を利用する人も少なくなり、今では、市からの存続の要請を受け、助成金をいただきながら運営していますと言われていた。
とても気持ちのよい銭湯で、いつまでも頑張ってほしいと願わずにはおれなかった。
今日の宿泊地は『道の駅厚岸グルメパーク』。高台にあり街の夜景が見えるお洒落な道の駅である。