宮崎発、神戸行きフェリーは定刻通り19時10分に出航。乗船後は真っ先にシャワー室に直行。現在運行中のフェリーには大浴場だけでなく、シャワールームも完備されており、気軽に汗を流すことができる。さっぱりした後はドミトリーエリアのベットスペースに戻り、館内に持ち込んだ荷物の整理を行う。以前のフェリーは大広間のスペースが中心だったが、今はドミトリータイプや少人数で区切った個室タイプが中心である。ドミトリーは、ちょうどカプセルホテルのような感じで、プライベート空間が一応確保されているのがいい。
さて、その後は夕食だが、今夜の食事は日清焼きそばとおにぎり、そしてビール。館内のレストランは料金が高すぎるので最初から除外。弁当も考えたが荷物になりそうなのでパス。エントランスホールには給湯設備がありお湯が確保できることからこれに決定。
先ずは、ビールで旅の出発を祝い一人乾杯。他のテープルでも、思いおもいの食べ物を持ち込んだ乗客が楽しく食事をしている。こののんびり加減が船旅の良いところである。食事を済ませ、しばらくネットニュースを見ていたが、やがてインターネット圏外になったため、パソコンを取り出し、ブログの作成に取りかかろうとしていた時のことである。隣のテーブルの4人組の歳の頃70歳前後であろうか、関西から宮崎にツーリングに行きその帰りのような面々。バイクの話題から宮崎の酒の話題など、いろいろ宮崎に詳しいことが伝わってくる。宮崎の地でのツーリングを満喫したようであり話がどんどん盛り上がって行っている。パソコンを起動させたものの、耳も意識もお隣の楽しい会話に引き込まれて行く。
と、その時、「今のお話をお聞きし、嬉しくなったのでお邪魔させてもらっていいですか」と、一人の男性がそのグループに入って行ったのである。彼らへの自己紹介の言葉で、自分は日南にある酒造会社の営業マンであるという。グループの面々が「美味しい」と言っていたお酒の蔵元の社員とのこと。瞬く間に4人組の和に溶け込んでいた。
この時、ずっと以前にお世話になった上司のことを思い出した。この上司の県外への出張秘話である。県外への出張の際、夜は軽く一杯飲みに出る。上司が問う。「一人で飲むのもいいが、知らない土地だからこそ、そこの人と話がしたいと思う。どうすれば会話が弾むか」。無論、当時まだ若かった自分には、それへの答えは浮かばない。上司が得意げにいう。まだ「霧島」が全国区になっていない頃の話である。「私はね、必ずバックに霧島のミニカップを忍ばせて行くんだ。そして飲みに行った居酒屋でカウンターの中にいる主人に霧島を差し出す」「宮崎の自慢の焼酎だ」と言って。飲んだ主人は、必ず「美味い!」という。「そこからはもうそこの主人と旧知の友のような楽しい会話が続くのよ」。なるほどな〜。酒の魔力である。隣のテーブルの彼の行動から懐かしくその上司を思い出してしまった。今もお元気だろうか。久しくお会いしていない。この旅が終わったら訪ねてみようと思った。
さて、この文章を書きつつ、テーブルの上には、持ち込んだ日本酒「八海山」の空になったミニ瓶がある。気分も良く、お隣の雰囲気と会話もいい感じで、あっという間に飲み干してしまった。先程の500ccのビールとこの日本酒で、心地よいほろ酔い気分になってしまった。
いい時間になっている。ベッドに戻って事前にダウンロードした映画を見つつ、就寝モードに入って行きたいと思う。
神戸には、明日朝7時30分の到着とアナウンスされていた。明日の天気を調べたいところだが、船内は圏外状態。デッキに出てみたが、あたり一面の闇。遠くに船の灯りがうっすらと見えるのみ。目線を頭上に上げると星がキラキラと光っている。明日は晴れのようである。
本州への上陸初日。さぁ、旅の始まりである。