今日から9月。暦の上では秋なのだろうが、外は強烈な日差しが注ぎ、以前として猛烈な夏の状態である。とは言え、日が沈むと吹く風に涼しさを感じるようになり、少しずつ秋に近づいていることを思う。
秋の季節になると、書店や図書館では、美術展や美術館を特集した特設コーナーが設けられ、美術関連の書籍が並ぶ。素材に大きな変わりはないのだろうが、見方や取り上げ方を変えることで、新たな新鮮さが生み出されついつい手に取り、気に入れば買ってしまう。
先日、いつも利用している蔦屋図書カフェに行き、何気に並んでいる本をつらつら眺めつつ歩いていたら、ここでも「美術」をテーマに、ピックアップされたお薦め図書が並べられていた。その中の一冊に『建築でめぐる日本の美術館』という本があった。

惹きつけられるものを感じ手に取りページをめくってみた。少しばかり前に、美術に造詣の深い知人からいろいろな影響を受け、以来機会があれば美術館に足を運ぶという趣味の引き出しを持つに至っている。
この本の「はじめに」にあることばに早々に惹きつけられる。
『美術館は芸術作品を鑑賞するところ。でも、それだけではありません。アートが体感できる空間でお茶を飲んだり、他では見かけないミュージアムグッズを買ったり、感性を刺激されながらの楽しみ方はいろいろ。そして、建築技術やインテリアも美術館めぐりのテーマのひとつなります。』〈略〉『美術館の建物は、アートを守る器です。アートを愛し、鑑賞に訪れる人を優しく迎え入れてくれます。そんな機能を果たしながら、アート作品やその土地に寄り添う美術館に様々な刺激をもらいに出かけてみませんか?』
そこにある美術作品とともに美術館そのものにスポットを当てていることに新鮮さを感じる。どんな美術館が掲載されているのかと思い、目次のページを開く。5つ章により紹介されていた。『押さえておきたい名建築ミュージアム』、『一人の作家のために建てられた個人美術館』、『個人のコレクションから生まれた私的美術館』、『ユニークな作品や企画展が楽しめるこだわり美術館』、『一日中いても飽きないアートの街』。計84の美術館が掲載されている。この本の作者がカメラマンだけに、どの美術館も見事である。最初にある『名建築ミュージアム』の章にある美術館は、美術関連本では常連のところが多い。行ったことがある美術館もある。「金沢21世紀美術館」「国立新美術館」「国立西洋美術館」「東京国立近代美術館」にはやはり強い印象が残っている。なんとこの中に、おとなり大分県にある「大分県立美術館」が載っていた。ここも行ったことがある。確かに趣向が凝っており印象深い美術館だった。『個人美術館』と『私的美術館』は、ワンテーマ的な美術館であり作品に対する好みに左右されるのだろうが、美術館そのものはそのいずれもが味わい深いものである。ここにとりあげられた美術館に行ったことがあるものはなかったのだが、ぜひ行きたいと思っていた美術館があった。久しぶりにこの名前を見て、無性に行ってみたくなった。千葉市にある『ホキ美術館』である。ここには、絵画の概念を超えるリアルさを持った作品が集められており、写実絵画の専門美術館である。写真かと思わされる作品をぜひとも生で見てみたいものである。『こだわりの美術館』の章で紹介されている美術館はどれもユニークでそれぞれに魅力を放っていた。“蔵の美術館”、“石の美術館”、“ガラスの美術館”等々。この中の富山ガラス博物館には行ったことがある。展示されているガラスアートも見事だったのだが、館内の演出が素晴らしかったという印象が強い。吹き抜け空間に透明ガラスを組み入れ、煌びやかに広がる空間を演出していた。『アートの街』の章では、4つの美術館と施設が紹介されていた。「軽井沢タリアセン(長野県)」「ムーゼの森(長野県)」「清春芸術村(山梨県)」「クレマチスの(静岡県)」。そのどれも初めて聞く名前。
まだまだ知らないことが無限にある。
登山をテーマに車中泊しながら日本中を旅している人がいた。
このことを思い出しながら、美術館巡りをテーマにした車中泊旅もいいなぁとふと思った。